『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』 by 福田和也

【私の夢の原風景。】
日記を書き始めの頃は、
「まあ、毎日、書評を書き続ければ、きっと、一ヶ月後には、サックと、書いちゃうことができるかな。」と甘い事を考えていました。
ところが、全然、書く速度が速くなりません。「答えは、自分の中にある」なんていうセリフがありますが、本棚をふとみると、『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』という、まさに、私が求めていた本がありました。「答えは、自分の本棚の中にある」(?)
著者の福田氏は、タイトルにもあるにあるように、一月あたり百冊を読み、かつ、300枚もの原稿をこなします。これは、毎日、原稿だけを書いている缶詰状態ではなく、大学で教鞭をとりつつ、かつ、十分な8時間程度の睡眠時間も確保しつつ、かつ、仲間とのコミュニケーションも書かさないで、この量をこなしているそうです。ちなみに、評論系では、100枚程度で、多いとさせている中、驚異的な枚数のようです。
その秘密は、なんと、手帳への「抜書き」することにありました。福田氏は、評論活動に必要な本を読んで、その本で、大切だと思う箇所をそのまま、手で「抜書き」するのです。手順としては、本の必要な箇所を読み、ページの上に折り込みを入れます。そして、再度、折り込みを入れた場所だけを再読して、「抜書き」するに値する箇所を選定します。ページの下に折り込みを入れます。そして、本の文章を書き写すのです。当然、その作業は、面倒なので、厳選せざるを得なくなります。また、「抜書き」する作業を通して、大袈裟に言えば、その筆者に憑依するような気持ちで、やると、より、理解が深まるそうです。
こうして、集めた「抜書き」により、資料への参照が大幅に短縮され、実際、その手帳に集約されていますからね。また、別の効果としては、手書きで書き宇すことにより、脳に対して明らかに、キーボードで写すとは違う効果があると主張します。脳が活性化されるとのことです。
最近の百マス計算や「脳を鍛える大人の計算ドリル」川島教授の研究から、連想するに、脳が活性化されるのでしょうか。私も、仕事において、パワーポイントを使用して、資料を作る機会が多いのですが、マウスで描くより、手で描いた方が明らかに発想が広がっているように思えます。英語の学習でも、「音読筆写」という文章を読みながら、ただ、英文を書き写す学習法があります。これも、試したことがあり、非常に効果的でした。
そして、文章をまとめる段なると何がポイントになるのでしょう。3つ程度に集約されます。
1.自分限界を知る。自分ができる範囲のことを認識して、その中でバランスよく作業を進める。
2.文章の分野によって、特定のスタイルを確立する。
3.サロンで、仲間との会話を通じて、考えている内容が魅力的か精査する。
1については、文章を際に、できるだけ、早くに内容の構成を決めて、かつ、自分の能力を加味しながら、作業を進めます。そうすると、例えば余計な調査が発生せずに、スムーズに作業を進められます。往々して、最初に大きく風呂敷を広げて、期限が近づくと急に小さく畳みます。そうですなく、最初から、仮説を持って、当たることが大切です。
2をとばして、3については、書く内容を仲間に話して、結果的にアイディアを貰ったり、おもしろいか否かの判断に使用するのですが、話す前に、構成を考えることや実際に話してみて、自分が何を文章で書くべきかはっきりするそうです。
かなり、以前に読んだのですが、ここでのサロンというのに惹かれました。このサロンは、バーもついてるレストランなのですが、仲間の誰かが常にいて、知的な会話が楽しめるようなのです。
「あ、いいなあ」と、非常に強く思い、印象に残っています。
以前、日記に書いた読書カフェもそうなのですが、こういう場所が欲しいです。そして、この夢の原点がこの本だと思い出しました。よく考えると、この福田氏の生活スタイルは、私が思い描く理想のような気がします。
ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法
著者:福田和也 、出版社:PHPソフトウェア・グループ/PHP研究所
後悔度:★★★(三つ星満点)
★★★:読まないと絶対後悔する、★★:とても後悔する、★:やっぱり後悔する

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