『eリテール・インパクト』 by 西垣通/NTTデータシステム科学研究所

【生活価値を求める消費者がうごめくネット社会の一面。】
前書きで、示されている考察が興味深いです。IT革命は、生活革命であり、個人の消費行動を大きく変えることです。よつて、B to C、C to Cという個人レベルの消費活動が、B to Bという企業間の経済活動より、IT社会の本質が反映れさます。
2002年の統計において、B to Cの取引金額が倍増し、それに対して、B to Bの取引額は1割程度の増加である状況は、その変化を象徴しています。
「ネット社会でもっとも肝心なことは、消費者が単にモノ(商品)を求めているのではない、という点であろう。・・・求められるのは、商品やサービスを購入することで得られる「経験」であり「生活価値」なのだ。」(前書きより引用)
論文が、計6編、載っているが、圧倒的に、実際に、ビジネスの現場にいる人のそれがおもしろいです。その中から、ネットを使った商売に、ヒントを与えるようなものをピックアップします。
ネット上でのコミュニティの成立には、次の3点が必要です。
1.われわれ意識
 自分達は、ある統一体に参加しているという意識。
2.役割意識
 コミュニティの中でのになっている役割の意識。
3.依存意識
 このコミュニティがないと、生活の一部が欠けているというような不安感じること。
4つの起業スタイル
1.伝統的起業
2.ベンチャー・キャピタル活用型起業
3.クリック&モルタル型起業
 既存の中堅・中小メーカーのe販社を作る。商品企画力と販売力を補う。後継者がいない会社がよい。また、親子共同経営では、親子での対立が起こりやすいが、他人の意見は冷静に聞き入れる場合がある。
4.家庭内SOHO型起業
 片方が、SOHOでアフィリエイトとして、起業する。
携帯を使ったマーケティングで明らかになったことは、店長の熱意が伝わりやすく、そして、顧客の意見を取り入れた店づくりをするとその意見を発した人は、より優良客の層に移行することです。
本書を読んで、「何を売って良いのかわからない」既存の小売りより、「欲しいモノをはっきりさせてくれる」消費者の方が、商売をうまくできるという、そんな時代がやってきたという感想を持ちました。
eリテール・インパクト
ネットワーカーが変える「消費」
著者:西垣通/NTTデータシステム科学研究所、出版社:NTT出版
後悔度:★★(三つ星満点)
★★★:読まないと絶対後悔する、★★:とても後悔する、★:やっぱり後悔する

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