【せつない風俗小説の短編集】
女性向けの風俗を5種類、取り上げています。それぞれのタイトルに金額が付いているのが、今、現在の風俗のまわりで発生しているシーンを、昆虫標本を扱う少年のように、丁寧に採取している感じを強調しています。
今の生活の中で不足している部分を、あたかも、コンビニで新しい商品を買うが如く、風俗を消費している状況が痛々しい。描写は、それと距離を置いた視点で、視覚に訴えるように描かれており、その読後は短編映画を見た気分です。
生活の中にある不足感を「男を買う」行為で、何かしらのイベントとして捉え、または、普通の生活から逃避して刺激に中毒になることにより、埋め合わせようとしています。
日々の生活の中で、何かで満たそうとするけど、やっぱり、何かが足りないような、それでいて、自分の生活を根本から変える勇気のない、今の多くの人達の思いを代弁しているようです。
5つの短編の中で、私が好きなのは、単に、「イク」感じを、一度、体験したいために、「逆性感」を買う『3万円の指』という作品です。欲望を、単純に、健康的に、求めている姿をほほえましく感じました。
この本は、後藤さくら氏による写真とのコラボレーション作品です。その写真の構図は、男性の視点とは異なり、なにかしら、柔らかくて、セクシーさを感じました。
あなたを買った夜
ベストロマン文庫
著者:内藤みか+後藤さくら
出版社:ベストセラーズ
内藤みかさんに接近?
あるセミナーに参加したところ、隣の席には、なんと、奥様は官能小説家や新潮ケータイ文庫で大ブレイク寸前の内藤みかさんがいるではありませんか。で、サインをしていただいたのがこの本でした。
皆様、今日のレビューはいかかでしょうか。少し、短いかな。不足感を感じたら、是非、購入して、満たされてください。
今度、内藤みかさんは、私の非常に好きな作家である村上春樹の「ノルウェーの森」をトリビュートするようです。詳細は、この日記で。楽しみです。(最近、数年ぶりに、「ノルウェーの森」を読み返しました。これって、シンクロニシティ?)
内藤みかさんから、私書箱に、メッセージをいただきました。実際、男を買う女性は増えているそうです。私は、そういうことに、あまり、衝撃を受けないのですが、普通の男性からは、衝撃的なこととして捉えられているようです。