『なぜ高くても買ってしまうのか』 by マイケル・J.シルバースタイン他

【もしかしたら、これが日本の経済を救う鍵?そして、私たちのチャンス?】
少し、大げさですが、日本経済が停滞している一つの原因に、需要と供給のミスマッチがあると思います。まさに、本書で取り上げられているような「平均的な商品・企業の終焉」に、多くの企業が陥っているように感じます。消費の二極化が生み、企業はV字の谷の底に落ちているような気がします。
そして、消費者が「思わず買ってしまう」ワンランク上の商品は、ネットビジネスにぴったりと思いません?そう、もしかしたら、私たちの起こすビジネスが、需給のギャップを埋めるかも?そんな視点で、本書を読んでみました。
本書では、「ワンランク上の商品・サービス」を「ニューラグジュアリー」と呼んでいます。このニューラグジュアリーは、日本で言うと、食用油の「健康エコナ」、クィーンズ伊勢丹などの比較的高価な食材を扱うスーパー、ルイ・ヴィトン、50~100万円クラスの時計、ベンツやBMWなどが相当します。
これらは、名目だけでなく、実用面において有効である品質が高く、センスがよく、しかも、手が届かないほどではない価格帯です。三つに分類されます。1.絶対的価格は低いのですが同種の商品と比較して明らかに高価な「手の届く超高級品」、2.従来品のラグジュアリーの拡張、つまり、ブランド品の廉価版、3.マステージといわれる従来品と1、2との中間の価格帯の商品に分けられます。
これらのニューラグジュアリーは、最初、そのデザインや使用されているテクノロジーに魅せられて購入します。そして、実際に、そのデザインやテクノロジーが、有用であることを実感して、消費者は思い入れを抱くようになります。
ニューラグジュアリーが生まれた背景には、需要側、供給側、両面の変化があります。
需要側としては、より、心理的状況が消費に反映しやすい状況があります。まず、ディスカウントショップの台頭、資産(特に株)の増大による可処分所得の増加があります。そして、女性の労働人口が増え、女性が消費の主導権を握り始めました。晩婚化、少死化、離婚率増加も、可処分所得を増やします。更に、高い教育、海外旅行は、消費者の目を肥やさせます。
供給側の要因としては、ショッピングモールの増加による専門店の需要、そして、量販店の品揃え拡大需要に、うまく、ニューラグジュアリーがマッチしました。余談ですが、ショッピングモールと量販店の狭間で、百貨店は動きが取れなくなってしまいました。
さて、このニューラグジュアリーで成功するためには、何が必要でしょうか。本書では、三段階の手法を示しています。「ビジョン」「翻訳」「実行」の三段階です。詳細は、本書を参照してください。
ニューラグジュアリー関連のビジネスを考え出してみたいものです。
なぜ高くても買ってしまうのか~売れる贅沢品は「4つの感情スペース」を満たす
著者:マイケル・J.シルバースタイン/ニール・フィスク
出版社:ダイヤモンド社
後悔度:★★★
★★★:読まないと絶対後悔する、★★:とても後悔する、★:やっぱり後悔する

タイトルとURLをコピーしました