『二十一世紀残る経営、消える経営』 by 大久保寛司

【お客様にとっての価値を追求する事が勝ちに繋がる】
筆者の視点は、常に、「お客様」にあります。本書全体を通して、お客様に対して、価値ある製品・サービスを提供するためには、どうするかという思いで、貫かれている。そのために、基本的事項について、如何に浸透させるかに力点がおかれ、理解しやすい内容となっている。
ただし、理解しやすいからといって、実行しやすいとは限らない。逆に、実行は、非常に難しいと感じた。まず、トップの意識改革が必要になっている。トップに対して影響力を行使するのは難しいし、そして、意識改革も、緊急の事態が発生しなけば、難しいからである。
本書の内容を現場レベルでいかすことを考えると、次の三つが考えられる。
・お客様の声を聞いて、価値を置いている部分を理解する。
・お客様の声を元に、他部門へ、(特にスタッフ部門)に提案する。
・プロジェクトメンバや協力会社に、プロジェクトにおいて、お客様の目的を明確に伝える。
お客様の声を聞く
プロジェクトの価値を高めるために、何が顧客価値につながるかを聞くことが、まず、顧客価値を追及する仕事の基本となる。通常、プロジェクトにおいては、SEが直接的に作業することを聞くだけのことがほとんどである。それだけでは、当該プロジェクトの価値が分からないので、一歩踏み込んで、プロジェクトの意義を聞くことを意識する必要がある。
他部門への提言
他部門、特に、スタッフ部門や上位組織部門へ、プロジェクトの現状を伝えることが大切である。というのは、通常、それらの部門がとる行動は、1.現場の状況を理解してない、2.ピントはずれでも反省することがない、3.強制力で物事を進める、ことになりがちであるからである。これを防ぐには、顧客の声をもとにした建設的な提言を続けていくしかない。
目的を伝える
顧客価値を高める目的での仕事は、コスト削減のそれとは異なり、多くの方法が考えられる。そのため、コスト削減が目的のそれとは、異なり、多くの方法が考えられる。そのため、アイディアを多く出して、合致するものをどんどん採用すべきである。また、逆に、顧客価値に照らし合わせると必要のない作業もあるかもしれない。
まとめ
このように、顧客の意図を明確に理解して、地道に、ねばり強く、組織(会社)に、伝えることが大切だと考える。
二十一世紀残る経営、消える経営
著者:大久保寛司、出版社:中央公論新社
後悔度:★★★
★★★:読まないと絶対後悔する、★★:とても後悔する、★:やっぱり後悔する

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