【作文は自分を知る良い方法、そして、よい目標も手に入れられる】
「えっ、これを書いたのが小学生?」と、思わず、声を上げそうになった。
芦永氏の指導する小学生が、「周りの友人が子共に見える」とまで、言わしめたぐらいの効果なのです。
「ストーリー作文」を書くことにより、「考える力」、「表現力」、「書く力」が養成されます。
ストーリー作文を書くことで、「考える力」が養成されるのは、事実を表現することを前提に、しっかりと体験し、他人に説明できるように把握し、そして、それらの事実をまとめて、一定の結論を出すことにより、頭が訓練されるからです。
作文を書くことを前提にして、体験を捕らえると、日々の生活の出来事や季節の移り変わりに敏感になり、感受性が養われます。そして、他人に説明できるようになるためには、客観的な事実を積み重ねることにより他に説得力のある方法はないので、丹念に事実を追うことになります。
この考える力と表現力が合わさって、書く力が養われます。
著者は、訴えます。受験勉強に見られるような目の前の試験に出そうなことの暗記的作業では、考える力がつかないと。書くことにより、考えることが出来ると。そして、多くの人達が、「書くことは苦手」と言うが、本当は、書くべきこと、主張すべきことがないのではと指摘します。
では、具体的に、どういう風に、書くかというと、事実を書いて、そこから感じてもらえるように書いていきます。テクニック的には、以下のようにまとめられます。ただ、箇条書きでは、ピンとこないと思いますので、実際に、本書で実例を見て、実感してください。
1.ストーリー=事実を順を追って、書く。
2.結論を書かないで、過程を書く。
3.過去と現在を交互に書いて、臨場感を出す。
4.描写する=状態や状況をかく。
e.g.哀しかった→涙が止まらなかった。拳を握りしめ、歯を食いしばり、壁に何度も何度も頭をぶつけて泣いた。
5.最初の一行をセリフで始める。
6.印象的なシーンを入れる。
7.視点を動かして、描写する。
8.最後の一行を描写で閉める。
タイトルに戻って、では、なぜ、作文を書くと学力が向上するのでしょう。それは、言葉の使い方がうまくなるからです。そして、言葉はすべてのことのベースとなるものなので、他の科目にも、効果があるのです。
現在の国語の教育は、読むことが中心です。書くことを取り入れれば、書くことは読むことより、何倍も頭を使うので、学力が伸びるのです。英語の学習を考えてみれば、はっきりと、理解できるように、書くことが出来れば、読むことは楽です。
学力は結局、手段であり、目標を持ってこそ生きてきます。目標を立てるには、自分をよく知ることが必要です。自分をよく知るためには、自分を表現する作文は、よい方法でもあるのです。
「本当の学力」は作文で劇的に伸びる
著者:芦永奈雄、出版社:大和出版
後悔度:★★★
★★★:読まないと絶対後悔する、★★:とても後悔する、★:やっぱり後悔する