普通の起業家への実戦的アドバイス
経営学に出てきそうなイノベーションを起こす華々しい起業家ではなく、どこにでもいそうな「ふと、商売を始めてしまった」という職人肌的な人達へ送る「事業家への道案内」という内容です。
自分がいなくても、自動的に運営される組織を生み出す手順をマクドナルドが生み出したフランチャイズ方式を例に説明している。
基本的なサイクルは、「イノベーション」→「数値化」→「マニュアル化」である。「イノベーション」は、「お客様へ声のかけ方を工夫する」等の具体的な手法、「数値化」はその「イノベーション」の効果を計ること、「マニュアル化」はそれを誰でもできるように文書化することである。マニュアル化は、一見、人間的でなように感じてアレルギーを起こしそうであるが、料理でのレシピにあたるもので、確実に業務をこなす上で必要である。
そして、次の7つのステップを実施する。
1.事業の究極の目標を設定する。
2.戦略的目標を設定する。
3.組織戦略を考える。
4.マネジメント戦略を考える。
5.人材戦略を考える。
6.マーケティング戦略を考える。
7.システム戦略を考える。
私がおもしろいなと思ったのが、人材戦略である。章タイトルに「事業とはゲームである」というのがそれを語っている。組織の中にいて、何がやる気を失わせるかというと「自分がやっていることが利益等にどう影響するのかわからない」というものがある。自分がやっていることが確実に最終結果にどう影響するのか分かり、個々の業務上の工夫がその結果に結びつけばやる気が起こるのは目に見えている。(このホームページのカウンタのようにね)
ゲームは雇用から始まるが、その進め方が面白い。
1.会社説明会では、きっちりとした台本を用意して、オーナーの理念を伝えるプレゼンを行う。その他に、経営理念を実践することで成功を収めたという会社の沿革や、従業員に求められる資質についての説明も行う。
2.応募者と面接を行う。経歴と業務経験だけでなく、オーナーの経営理念について議論を行う。また、自分が適任だと思う理由も聞いてみる。
3.採用者には、電話で連絡する。電話で話す内容にも、台本が必要である。
4.新人を迎え入れる初日のオーナーと新人の仕事は次の通りである。
・オーナーの経営理念をもう一度確認する。
・経営理念を説明するためのシステムを紹介する。
・新人からの質問にしっかり答える。
・業務マニュアルを支給する。
・業務マニュアル、戦略目標、組織図、役職契約書の内容を確認する。
多くのサラリーマンに、直接的に関係ない、経営戦略本が売れるのは、きっと、自分がやっていることが最終的にどう関連しているのか知りたい気持ちが強いのではないだろうか。ゲームと割り切り、仕事を進める考え方は、テレビゲーム親しんでいる世代にとって、モチベーションをあげ成果を生むうまい考え方である。
最後に、次の中国のことわざを引用している。
「聞いたことは忘れてしまうが、見たものは記憶に残る。しかし、自ら実践しないかぎりは、何も理解することはできない。」
はじめの一歩を踏み出そう
著者:マイケル・E・ガーバー、出版社:世界文化社
後悔度:★★★ (三つ星満点)
★★★:読まないと絶対後悔する、★★:とても後悔する、★:やっぱり後悔する
はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術
コメント
初めまして、管理人さん
#629のシーナと申します
トラックバックありがとうございました
読んだ本の中で私は抜粋していくタイプなので
こちらで話の大筋を補完して頂いている感じで
とっても助かります
どうもありがとうございます
これからもこちらのサイトを参考にさせて頂きたいと思います
税理士の吉澤と申します。
私も、「はじめての独立・起業なるほど成功ガイド」という本を書かせていただいたので、この本に強く興味を持ちました。
是非一度読んで見ようと思うのですが、Amazon.co.jpだと4-6週間待ちになってますね。
ひょっとしてこのブログの影響でしょうかね(^^)
非常に参考になる本が多く紹介されていますので、勝手ながら、私のブログにもリンク設定させていただくことにします。