前作、『超心理マーケティング!』の詳細版が本書になります。前作は、170ページでソフト・カバー、今回は344ページでハード・カバー、意気込みを感じます。
著者が、提唱している『信用力のマーケティング』、『他社排除理論』は、「消費者は広告を信用してない」という点から、マーケティング戦略を構築する手法です。
更に、言うと、消費者は、企業も信用してないのです。それをどうやって、突き抜けていくのでしょうか?
『信用力のマーケティング』、『他社排除理論』共に、消費者に、客観的な事実を伝えて、その事実を信用してもらうことにより、商品への信用力を得ようとして言います。
例として、「赤穂の塩がおいしい」というのをどうやって、そのメッセージに、信用力をつけていけるかを上げています。
1.「赤穂の塩はおいしい」
2.なぜ?→人工塩にはないミネラルが含まれているから。
3.なぜ、含まれているのか?→天然製法で、良質の海水が使用されているから。
4.なぜ、海水なのか?→さまざまなミネラルが含まれている。
これを逆の順序で説明すると、以下のようなメッセージになります。
海水には、さまざまなミネラルが含まれています。良質の赤穂の海水を昔ながらの天然製法により、「赤穂の塩」を作っています。なので、ミネラルが含まれてない人工塩とは異なり、豊かなミネラルが含まれています。だから、「赤穂の塩はおいしい」のです。
事実を積み重ねることにより、信用できるメッセージと感じられます。
その他にも、信用力を上げる表現として、「臨場感とリアル感」があります。
「臨場感とリアル感」は、立場の専門性と他社排除を狙っています。例として、以下の文章があげられています。
「ディーラー勤務20年のベテラン整備士が教える本当に無駄のない技術」
この分で、「勤務20年」→「経験の浅い知識のない整備士も多い」ということを暗に言うことにより、『他社排除』を行います。暗に他が明言しない情報を提示することにより、他の選択肢を検討する芽を摘むことが出来ます。
そして、この例に入っているもう一つの手法が、「二重修飾」です。「本当に無駄がない」という語句が、「技術」を強調していると共に、その整備士をも間接的に、リアルさを強調しています。
本書は、「広告が信頼されてない」時代に、どのようにして信用されているメッセージを発信するかについて、その手法を詳細に教えてくれます。消費者に伝わってないと感じる方には、とても、参考になります。
■■ 今日のエッセンス
■■ 広告が信頼されてないという事実に気が付いていますか?
■■ 広告の中に事実を入れて、信じられる理由を提示していますか?
儲けのDNAが教える“超”競争戦略~売れる会社の魅力と謎
著者:鈴木博毅、出版社:PHP研究所、ISBN:4569635725
後悔度:★★★ (三つ星満点)
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