『キャズム』 by ジェリフー・ムーア

ある意味、古典になりつつある『キャズム』を、ようやく、読みました。「ハイテク産業が陥る『キャズム』を如何に乗り越えるか」というのが主題です。早めに、読んでおけばよかったと後悔してしまいました。IT系、特に、技術を売り物にしている会社・部門の人には必読です。
SIベンダー(コンピュータシステムを実際に構築する会社)の金融部門の営業企画に所属していた頃を思い出しました。今にして思えば、実際に、営業をしている方は、経験としてこのキャズムの手法を理解している様でした。ただ、理路整然とまとめて、かつ、その理想型と問題点を整理している本書のように明確に意識していないようでした。
そして、そのように、その理想型と問題点が明確になれば、対処の方法がわかり、ムダな時間が減ったかわかりません。
『キャズム』とは、ある製品が普及するときに、顧客の質の違いから発生する売上の落ち込みを指します。
マーケティングの理論を勉強された方は、よく、知っているとおもいますが、あるジャンルの製品(サービスでも同様)が普及するときに、いくつかの考え方の異なる顧客の層を相手にします。それは、5つの層からなります。
1.Innovators (ハイテクオタク)
2.Early Adopters (ビジョン先行派)
3.Early Majority (「価格と品質重視」派)
4.Late Majority (「みんなが使っているから」派)
5.Laggards (ハイテク嫌い)
最初のInnovatorsは、文字通り、ハイテクオタクで、新しい革新的な機能がある製品を試さずには、いられない人達です。この人達は、「役に立つか」という視点は抜きにして、その技術的なすばらしさを評価します。そして、その層の期待する価格は、原価に近いことを求めます。
私が、思い浮かぶのは、自作PCマニアでいうところの「人柱」といわれている人達です。この人達は、メーカーが保証していないか、まだ、製品として十分に練られてないPCの部品を率先して、評価して、自作PCマニア層に情報を提供することに喜びを感じています。
次のEarly Adoptersは、その新しい技術が持つ実際の効果に関心を持っています。つまり、製品レベルで評価します。その製品がどのような効果を生み出すのかを見ています。そして、その新しい製品を使用して、他社との差別化を図るのかに焦点を当てています。そして、お金は潤沢に提供します。
更に、このEarly Adoptersは、不連続的な改革により、注目を集めたいという非常に野心的なそうでもあります。この不連続的に変化を起こしたいという意図が、次に説明するEarly Majorityと異なります。
Early Majorityは、新しい技術に対する考え方は、Early Adoptersと同じで、技術的側面ではなく、その効用に関心があります。ただ、Early Adoptersとは異なり、連続的改革を指向します。そして、新しいジャンルの製品は、数年経つとそのジャンルさえ無くなることが珍しくないと知っているため、市場が確立するまで、待ちます。そして、類似製品との比較を行い、価格と品質、そして、その製品を導入する際の全体のコストを勘案して、その採用を決めます。
キャズムというのは、Early AdoptersとEarly Majorityの間に存在します。Early Majorityの層に到達するには、自社だけでは、どうにもならない市場の確立を待つ必要性があるからです。
ハイテク市場で、よく、見受けられるパターンが、顧客の一部であるInnovatorsでその技術的なすばらしさをたたえられ、一部の先進的な企業に採用されたが、その後、しばらく、ニュースが無くなるというパターンがあります。よく見られる現象です。このような状態にいるときは、キャズムに陥っている可能性か高いのです。
長々と書いてしまいました。その具体的な解決案を書くスペースが無くなってきました。解決案は、本書をご参照ください。
■■ 今日のエッセンス
■■
■■ 五つの層を意識して、製品のマーケティングを行っていますか?
■■ それぞれに対する技術の見せ方を心得ていますか?

◆キャズム~ハイテクをブレイクさせる「超」マーケティング理論
著者:ジェフリー・ムーア、出版社:翔泳社、ISBN:4798101524

キャズム
ジェフリー・ムーア , 川又 政治

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堀江さんの新刊
堀江さんの新刊、『堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方』を読みました。

堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方
堀江 貴文

帯の「年功序列も大企業信奉も間違っている!」という言葉は見事に、私のストレスのもとを的確に指摘して、ツボはまります。読むと、会社を作りたくなってきます。
楽しくて、儲かる会社にしたいです。

コメント

  1. やっと借りられました!
    はまりまくりです。私もハイテクもどきのマーケッター故、どうしてもっと早くこの本に出会えなかったのかと後悔しまくりですが、そうではなくて、ここでご紹介いただいたお陰で「キャズム」の真相を知ることができました。

     これからが楽しみになりました!
     いつも大変気付きが多い書評が嬉しいです。シンヤ

  2. こばやし より:

    こんにちは。

    お祝いコメントありがとうございます。
    自分も「後読」楽しく読まさせて頂いています。

    今後ともよろしくお願いします。

  3. とうこ より:

    お元気でいらっしゃいますか?
    今、yukoちゃんは出張で日本です。
    私、URL新しく変えました~♪

  4. Tulipa より:

    とうこさん、

    知らせていただいて、ありがとう!早速、コンタクトを取ってみます。
    # リンク先を変更しますね。

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