『パフォーマンス・マネジメント』 by 島宗理

この『パフォーマンス・マネジメント』は、以前から紹介したいと思っていた本です。そう、「次のメルマガは」のコーナーで、「地味な心理学の本」というのは、この本のことです。
『パフォーマンス・マネジメント』は、心理学の行動分析学をやさしく解説して、どのように、応用すればいいのかを教えてくれます。具体的には、やりたいことを続けられない、モチベーションを維持できないということを解決し、かつ、他人や個人を責めなくてよい方法を提示してくれます。
基本的な方法の流れは、まず、ABC分析を行い、そして、原因の推定を行います。最後に、モチベーションを強化する方向にやり方を変えてみます。『パフォーマンス・マネジメント』で提案されている方法は、部下のマネジメント、安全のマネジメント、体重のマネジメントなど多くのことに利用ですきます。
その流れを、部下のマネジメントを例に、説明します。
新人達の部下に帳票処理をしてもらう場面です。この新人達は、おしゃべりに興じてばかりで、全然、仕事をしてくれません。
まず、ABC分析からはじめます。ABC分析は、Antecedent、Behavior、Consequenceから来ています。それぞれ、先行条件、行動、結果に対応します。専攻条件とは、「~のとき、~したら、~になった」の行動の直前の環境です。行動は「~したら」にあたり、結果は「~になった」の部分です。
この新人達の場合は、以下のようになります。
先行条件:仕事中
行動:同僚に話しかける
結果:楽しくおしゃべり
結果が楽しいというプラスの結果になりっており、より、この習慣が強化されます。それを修正するために、見るたびに注意すると、マイナスの結果にすることを考えます。これを弱化といいます。ところが、うまくいきません。というのは、注意することは、正確には、ABC分析で以下の状況になっています。
先行条件:仕事中+上司がいる
行動:同僚に話しかける
結果:注意される(-)
先行条件:仕事中+上司がいない
行動:同僚に話しかける
結果:注意されない(+)
この場合、注意をさけるために、上司がいないところで、おしゃべりすることになります。
ちなみに、問題の解決を考える場合、以下のようの3つの段階で対策を変えます。
知識:知識を持ってない場合、情報を与える。→明確な先行条件を与える。
   OKの場合、次に。
行動:確実に行動が出来るように、身につけさせる。→行動を明確に。
   OKの場合、次に。
動機:動機づけができてない場合、結果がよくない。→結果をプラスに。
この部下の問題の場合、動機づけがうまくいっていません。また、前述のように、弱化は期待した効果が得にくいので、強化を考えます。
先行条件:仕事中+目標を与える
行動:書類を処理する
結果:目標をクリアしたらランチをおごってくれる(+)
上記のようにすることによって、書類を処理することがだんだんと楽しいことになります。
如何でしょうか。この例では、簡単すぎたので、ピンと来ないかもしれませんが、複雑な組織のマネジメントや女性の永遠のテーマである恋愛や体重のマネジメントを含む15の例を取り上げて、より、深く解説しています。この方法を使用すると、自分自身や他人を責めるという思考が無くなることがいいですね。
■■ 今日のエッセンス
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■■ 問題は、知識レベルか、行動レベルか、動機レベルかを考える。
■■ 問題となることの弱化を考えずに、強化を考える。
パフォーマンス・マネジメント~問題解決のための行動分析学
著者:島宗理、出版社:米田出版/産業図書、ISBN:494655307X

後悔度:★★★★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?

パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学
494655307X 島宗 理

おすすめ平均
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