『“新富裕層”マーケティング』 by ポール・F.ヌーンズ他

『“新富裕層”マーケティング』って、なんて、魅力的な言葉でしょうか。このタイトルだけで購入してしまいました。が、オリジナルの出版元はハーバードビジネススクールプレス。なかなか、歯ごたえがあります。
この『“新富裕層”マーケティング』は、2つのながれから出てきています。一つは、ターゲットとするマーケットを細分化する動きの極致であるワン・トゥ・ワン・マーケティングに対する反動としてのマス・マーケティング。もう、一つは、新しい富裕層が従来の富裕層に対するマーケティングがうまく機能せず、新しい傾向があるということです。
アメリカの所得分布を1970年と2001年を分析したところ、全体として所得が向上しています。具体的には、年収10万ドルを超える人達が3.7%から13.8%へ、増大しています。そして、特に、増大の著しいのが年収7.5万ドルから10万ドルのそうです。この層が新しい消費傾向を生み出しています。
古いマーケティングのセオリーに対たいして、新たな提案を行っています。全部で、8つあります。その中の2つが興味深かったので、それを詳しく見ていきましょう。
古:新しい消耗品、新しい消費機会を提供せよ。
新:見返りの期待できる新たな消耗品を提供せよ。
新富裕層は、堅実であり、浪費的な消費を好まない傾向があります。しかし、見返りのある消費に対しては、より、多くのお金を支払う用意があります。
具体的には、仕事の生産性を高める知識獲得、要するに、教育にはお金を支払う傾向が強く、また、子供ためにもお金を使いします。そのほか、健康、長持ちするいわば、家宝ともなる貴重なものや長期にわたる保証をつけたものに価値を感じます。
古:湯水のようにお金を使ってでも、ほしいと思わせるプロモーション。
新:むやみにお金をつぎこまず、選ぶのが賢明と思わせるプロモーション。
新富裕層は、浪費を好みません。なので、顧客を通にするようなイベントを開催して、賢明な消費を行っていると感じさせる方が、効果があります。例えば、米国でトヨタのレクサスの販売する際に、他の高級車を並べて展示して、明らかにレクサスが優位であることを認めてもらった方が効果がありましした。
また、新富裕層は、働く時間が長いという傾向があります。なので、日常生活の空白の時間に、プロモーションを行うことが効果的です。例えば、飛行機の中、エレベーターの中、そして、映画などのコンテンツの中に広告を入れるのが効果的です。
このように、新富裕層は意外に大きな割合で存在しており、また、従来の富裕層に対するアプローチと異なる方法がとられる必要があります。
■■ 今日のエッセンス
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■■ 見返りの期待できる新たな消耗品を提供せよ。
■■ むやみにお金をつぎこまず、選ぶのが賢明と思わせるプロモーション。
“新富裕層”マーケティング~大ヒット商品を生む
著者:ポール・F.ヌーンズ/ブライアン・A.ジョンソン
出版社:ランダムハウス講談社、ISBN:4270000678

後悔度:★★★★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?

4270000678 “新富裕層”マーケティング
ポール・ヌーンズ ブライアン・ジョンソン 桜内 篤子

ランダムハウス講談社 2005-05-19
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戦略は捨てること
よく、戦略は捨てる分野を決めることといいますよね。いろいろなことに手を出してしまい、つい、引き受けてしまう自分が悲しい。
もっと、戦略的に動かねば。

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