この本も、テレビ・ショッピング会社の知り合いからお薦めされた本です。固い大企業向けの理論的なマーケティングの本ではなく、柔軟な現実的、ある意味ユーモラスなマーケティングの本です。
マーケティングに興味を感じて、本をいろいろと読んでいます。その中で感じたのは、最初の顧客を集める段階は、漫才でいうところのツカミと同じなのかなと思います。パッとみて、おやと思わせる、そんな感じです。
そういう意味では、この『ポストモダン・マーケティング』は、顧客満足というより、現実の生々しい商売で、もともと使用していたのを整理して、示しているような気がします。
スティーブン・ブラウン氏らは、この『ポストモダン・マーケティング』で、TEASEを提唱しています。TEASEとは、トリック(Trick)、限定(Exclusivity)、増殖(Amplification)、秘密(Secrecy)、エンターテイメント(Entertainment)のそれぞれの頭文字です。
単語から、その意味を予想しにくい、増殖、エンターテイメントを紹介ましする
まず、増殖とは、噂になっていることを噂にして売る方法です。意図的に噂になるように事件を作り出したり、わざと反モラル的なことをしてマスコミに取り上げられて、多くの人が話題にするようなことです。
実例として、有名な前衛的な芸術家の作品がゴミと間違えられて、捨てられたということが新聞の第一面の記事になりました。しばらくして、捨てられることを危うく免れたことがわかりました。どうも、この事件は捏造されたと考えられています。
また、別の例では、ベネトンが過激な広告を行い物議をかもし、結果として、多くのマスコミに取り上げられることにより、一億ドルの価値のある無料パブリシティを得ました。CEOの出版もある意味、この増殖の一つです。
次に、エンターテイメントとは、想像を超えた驚きと変化の素早さで売ることです。
例としてあげられたのは、1770年頃のジェームズ・グラハムです。彼は、電機治療というのを考えてロンドンのフッショナブルな場所に、「健康とヒーメン(ギリシャ神話の婚姻の神)の殿堂」を建てました。そこで、性機能障害そそれを直す電気の力をテーマとして講演を行いました。当然、インチキなのですが、大変な人気を博しました。
更に、IT企業の大手、オラクルのCEOであるラリー・エリソンもそうです。現在は、さすがに、洗練されていると思いますが、オラクルの初期の頃、オラクルのソフトウェア製品の特徴を誇張して、実際には存在しない「ベーパーウェア」(開発中から宣伝だけは盛んだが実際には完成する見込みのないソフトウェア)を売り出しました。
この『ポストモダン・マーケティング』は、多くの実例が掲載されています。実に、生々しいのが多く、現実の商売の世界を映し出しているように思います。きれい事のマーケティングに疲れたら、読んでみると、良いかもしれませんね。
■■ 今日のエッセンス
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■■ 増殖とは、噂になっていることを噂にして売る方法です。
■■ エンターテイメントとは、想像を超えた驚きで売ることです。
◆ポストモダン・マーケティング~「顧客志向」は捨ててしまえ!
著者:スティーブン・ブラウン/カズコ・ルディー
出版社:ダイヤモンド社、ISBN:4478502463
後悔度:★★★★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?
ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ! | |
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暑い!
8月に入って、急に、暑くなりましたね。私の家のクーラーは全開です。