この『ザ・プロフェッショナル』は、大前研一氏の今までの著書の底辺を流れる大前研一的な考えをまとめた本なのかなと思いました。どういう人がこれからの時代にうまく行くのか、どういう人が求められているのかヒントを掴める本でした。
この『ザ・プロフェッショナル』の全体から感じられるメッセージは、時代の曲がり角に来ている日本には明確な解は存在しません。ただし、その解を得には職業的なスキルを持つと共に、そのスキルで顧客を満足させられることができる人には、開けていています。そして、先の見えないこの時代を楽しめる人が解を得るチャンスが大きいのです。
総論的ではなく、個別の気になった話題を拾っていきます。
◆成功している人の特徴
今の時代に成功している特有のパターンは、パーソン・スペシフィック、タイミング・スペシフィックということに何回も言及しています。IT系の成功者を取り上げているのですが、オラクルやシスコの創立者を分析しています。
もう、MBAに代表される特定の成功パターンはなくなり、今までの常識を越えたところで、成功を掴んでいます。そのためには、大きな変化の兆しを感じられることと、試行錯誤をし続ける行動力が大切です。また、プロフェッショナルとしての力量を備えていることが前提です。
ちなみに、大前研一氏が『ザ・プロフェッショナル』で、プロフェッショナルの定義を引用すると次のようになります。
「プロフェッショナルは感情をコントロールし、理性で行動する人です。専門性のたかい知識とスキル、高い倫理観はもとより、例外なき顧客第一主義、あくなき好奇心と向上心、そして厳格な規律。これらをもれなく兼ね備えた人材」
◆3つのゲートウェイ
インターネットの経済圏で、大きく成功するためには、次の3つの分野で大きな位置を獲得する必要があります。それは、ポータル、ロジスティックス、決済です。ポータルでは中立性、決済では少額決済が鍵を握ります。ロジスティックス活用の成功例としては、ZARA、DELLがあげられます。どれらとも、ロジスティックス会社と深く提携しています。
◆MASSからCLASSへ
今後、先進国の企業の方向性として、大量生産型で安価に製品を供給するのではなく、付加価値の高い製品を特定の層に提供する方向に進まざるをえません。それを「MASSからCLASSへ」とタグホイヤーの社長は表現しています。
時計業界は高級時計の売り上げが7割を占めているという典型的な「MASSからCLASSへ」の典型的な例です。この中で、タグホイヤーは成功しており、時計のムーブメントで、水晶発振という時計の精度という意味で革新的な技術を広めたセイコーが経営的に苦悩しているのはそれを象徴しています。シチズンは興味深いことに、水晶発振のムーブメントの供給元となり一定の地位を得ています。
◆まとめ
この『ザ・プロフェッショナル』は、大前研一氏の本をあまり、読んだことがない人に特にお勧めです。また、キャリアとして、現在の状況に甘んじていても良いのかと思い悩んでいる人にも、今後、どうすればいいのかのヒントになります。ただし、この本の中に答えがあるという単純なことを期待しては、行けません。そういう思考は、大前研一氏が最も嫌う思考パターンです。
ザ・プロフェッショナル、著者:大前研一
出版社:ダイヤモンド社、ISBN:4478375011
後悔度:★★★★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?
ザ・プロフェッショナル | |
大前 研一
おすすめ平均 |
◆『脱皮』もっと!もっと!もっと!モテる男になれる53の智慧
◇ニュース!女性の本音が分かる?
友人のizumiさんがe-Bookを書きました。izumiさんは、アパレル系の仕事をされていたことがあり、そこで出逢うしゃれたモルる男性のことをよく話されていた記憶があります。記憶にあるというのは、特定の場面にきれいに、はまるセリフを目に見えるような表現で語ったのが印象に残っているからです。
その日々の研究の集大成が公開されます。
◇従来のe-Bookとは違う満足感
その彼女がe-Bookを出しました。内容も量もキッチリと詰まっています。通常のe-Bookは妙に字が大きく、それで(多分?)、ページを稼いでいます。活字好きの私には少々物足りないのです。
izumiさんのそれと異なり、本と同様の量と本を読んだのと同様の満足感があります。しかも、安い!
◇私が気に入っているテクニック
1,000円で、『素敵な人』になれるテクニックがあるんです。女性の視点はそういうことなのかと納得します。それに、1,000円ですからね。これだけで、元をもれる内容です。(Tulipa)
★詳細は⇒ http://www.breview.jp/a/051012b.html
コメント
Tulipaさんお世話になっております。実はTulipaさんの書評ブログを2年くらい前から知り、いろいろ良い本を薦めていただき感謝していました。昨年9月からなれないブログを始めました。まさか「憧れ」のTulipaさんにトラックバックしていただけるとは嬉しいです。大前さんは、遊びの本を楽しく書く一方で、高度な内容の本も書けてしまう、しかもわかりやすい文章で。そしてミーハーな話題も随所にちりばめられているので出たらすぐ読むのがお得だなと思いました
こんにちは。TBありがとうございます。私も大前さんの本は大好きです。どうぞよろしくお願いします。
二年間も、前から呼んで頂いて、ありがとうございます!これからも、よろしくお願いします。また、楽天にも記事を書こうかなと思っています。
ちなみに、この大前さんの本、大前さんの最近の本のエッセンスを集めていて読みやすいですよね。
では、また。
いつもニコニコさん、コメント、ありがとうございます。今後とも、よろしく、お願いします。