『第1感』 by マルコム・グラッドウェル

副題の『「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』に、惹かれて、本書『第1感』を手に取りました。
読んでみると、第一印象についての学術研究やエピソードをいろいろな角度からわかりやすく解説しており、非常に興味深い本でした。『第1感』を読むと、「何となく正しい」と感じる第一印象を大切にした方がいいかと感じます。
非常に、多くの情報が掲載されており、全部をお伝えできませんが、印象に残ったも3つの情報をお伝えします。
◆頭より体が速く理解する
心理学の興味深い実験がありました。それは、一人でやるある単純なトランプ・ゲームを試してもらって、何枚のトランプを引くことによって、必勝法を理解できるかというモノでした。
多くの場合、50枚ほど引くとなんとくなく必勝法がわかり、80枚で確信できるようになり、かつ、人に説明できるほどのレベルに達します。興味深いことに、体の反応は10枚のトランプを引いただけで、正しい判断をしていることが分かりました。
この「無意識のうちに正しい判断をすること」は適応性無意識と呼ばれています。学生が有能な教師であるか否かを判断するのに、10秒しかかからないのも、この適応性無意識が関わっているようです。
この適応性無意識は、情報が多くなると混乱して、正しい判断を下せなくなります。
◆15年後の夫婦の状態を予測する
15年後の夫婦の状態を15分間のビデオで判断する研究があります。これは、15分を1秒単位の細かい単位に分解して、かつ、この1秒にたいして、どのような感情かを区分していくと、その感情の割合で、15年後の夫婦の状態が予測できるというモノです。
夫婦間で無意識のうちに、繰り返される感情パターンが15分という非常に短い時間で判断でき、かつ、長い間、そのパターンは変化しません。夫婦間で、その感情パターンの積み重ねで、どのような結末を迎えるかが分かるというモノです。
短い時間で、特定の感情パターンがわかり、それが、ずっと、変わらないというは驚きですね。
◆プライミング・テスト
ちょっとした体験で、人の行動が大きく変わるという心理学でのテストが紹介されていました。それは、プライミング・テストです。
どのようなテストかというと、接していた言葉がその後、それが行動にどのような影響を与えるかを調べるテストです。具体的には、バラバラに数個の単語が並んでいるリストから、意味が通るような文章を組み立てることを被実験者にさせます。被実験者には、明らかにされませんが、その後に、目的とするテストをされます。
一例としては、どれだけ、忍耐強くなれるかのテストがありました。
一つのグループに「礼儀や秩序を守る単語」が与えら、もう一つのグループには、「乱暴な言葉や自己主張を肯定する単語」が与えされます。その後、実験担当者に報告することを求めます。しかし、その実験担当者は他の人と会話をしており、報告するには、会話を中断させる必要があるという状況が与えられます。
結果は、ビックリするようなものでした。礼儀正しい言葉のグループは、10分以上も待っているのですが、自己主張の言葉のグループは平均5分で話しかけます。
◆まとめ
この『第1感』を読むと、人間が無意識のうちに処理している情報量の多さと、それ同時に短い時間に判断できるように、ある意味、非常に単純化された判断の有用性に驚きます。
そして、非常に多量の情報量が詰まっているのですが、それを筆者はうまく料理して、読者が楽しんでいる間に、いつのまにか、本の最後のページにきてしまう構成力があります。
◆『第1感』 by マルコム・グラッドウェル
~「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい
著者:マルコム・グラッドウェル、出版社:光文社
後悔度:★★★★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)
第1感  「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳) 沢田 博 阿部 尚美

おすすめ平均
stars最初の2秒が大切みたい
stars「ひらめき」のネタ探し
stars第1感の鍛え方等をもっと知りたい
stars ■15分の会話から夫婦の15年後が90%見えるとは驚きました!”無意識”を様々な素材を使ってうまく調理しています!!!
stars著者の論理展開に無理がありますが・・・

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■関連の本
『急に売れ始めるにはワケがある』 by マルコム・グラッドウェル
~ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則
今日、ご紹介した本の作者の本です。『ティッピング・ポイント』というタイトルのハードカバーの文庫版になります。
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◆ネイティブ・コーチ
個人向けのコーチング*をされている方と、お仕事の打ち合わせの延長で、食事をしながら、雑談をしている時でした。
「Tulipaさんって、ネイティブ・コーチですね」と言われました。
ネイティブ・コーチとは、コーチングの勉強をしていなくても、自然に、コーチングの手法を用いて、仕事などで成果をあげている人を指します。
そのような発言の元になったのは、雑談を通して、その方の問題の解決案を、自然に気がつくようなことになったからです。
その方が指摘してくれたことは、
「傾聴のスキルが出来ています。人の話を判断しないで聞いています」とのこと。
確かに、人の話を聞くのが好きだし、いろいろな考えを持つ人がいるのが当たり前だと思うので、あまり、判断をせずに聞くのが習慣になっているのかも知れません。
以前から、思っていることのひとつに、いろいろな人の話を聞いてみたいというのかあります。なので、コーチになって、コーチングを通して、いろいろな人と話せたら、「楽しい思いをして、仕事になる」ということが出来るかもと思いました。
そんな夢につながる楽しいお食事でした。

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