『新規事業がうまくいかない理由』を読んでいると坂本桂一氏が、多くの新規事業を見て、あまりにも、ピントはずれな運営方法にいらだっているような感じを受けます。
本書を読むと、企業内起業の難しさと、可能性を感じることができます。類書は見たことがない(私の見識不足かもしませんが)ので、新規事業を立ち上げようとしている方には貴重な本になるでしょう。
まえがきに、もっと、ノウハウを詰め込んだ本にしようかという企画もあったそうなので、今後、そのような本も出版されるかもしません。読んでみたいですよね。
◆企業内起業とベンチャー
企業内企業とベンチャーを比較すると、リソース的には企業内起業が恵まれているが、実際の成功率を見るとベンチャーが勝っています。それは、圧倒的にモチベーションと後がないというハングリー精神が勝っているからです。
そういう強烈な精神力を、企業内起業を実行するサラリーマンに求めるのは無理というものでしょう。彼らは、安定を望んでリラリーマンになったわけですから。
企業内起業では考え方を変えて、ハングリー精神やモチベーションの乏しい人間がオペレーションを行うという前提で、事業を選ぶべきでしょう。
◆うまくいかない理由
新規事業従事者、会社側にそれぞれ失敗する理由があります。そのいくつかをピックアップして、説明します。
・成功が前提になっている。
新規事業の場合、多くは失敗に終わります。非常に、用意周到に望んでも、せいぜい50%程度がいい方です。なので、会社側がそれを認識してないと、結局、貴重なリソースを無駄に消費するだけで終わります。
・意志決定者が多く関わりすぎる
多くの事項について、なるべく、多くの人の意見を取り入れた方が成功の確率が高まると思われていますが、それは違います。特に、過去の成功や実績から結論を出してしまうと、必ず、失敗します。
・既存事業の評価やルールを適用する
既にある事業を発展されようとするのと、新しく事業を立ち上げることは、野球とサッカーほど違います。その違う事業環境に、同じ評価基準を持ち込むのは無謀です。
◆新規事業を立ち上げるには
新規事業を成功させるには、以下ようなことを守る必要があります。
・新事業の目的をはっきりさせる
新規事業を立ち上げるには、目的があるはずです。その目的をまず、決めます。
新規事業の目的は、本業の重心移動、本業周辺の強化、未来を担うビジネスにシフトする、他社のキャッチアップ、衰退しつつある本業を補うなどかあります。
・グループにアイディアを出させる
多くの新規事業は、社内公募等で個人に良いアイディアを提案させて、その事業案から検討を行います。
これはダメなパターンです。新規の奇抜なアイディアは必要なく、また、そのようなアイディアはサラリーマンから生まれません。そして、審査する方もサラリーマンなので、よいアイディアが選ばれる事もありません。
目的に沿った事業を綿密に、最低三ヶ月、数百時間に検討して、スキームを組み立てていきます。
・ビジネスプランの策定
通常のビジネスプランは、P/Lを作成しますが、新規事業は目的は何でそれを達成するためにどのようにやるのかを第三者が見ても分かるようにまとめることが重要です。
どんな優秀な頭脳でも未来のことは分かりません。変更があれば、対応できるような柔軟性と成し遂げるという執念が必要なります。
◆まとめ
本書のあとがきに、リクルートなどように、新規事業を立ち上げるのがうまい会社とそうでない会社の違いは、単に、成功体験の差からではないかと述べられています。
うまくいく企業は成功体験から、当然、うまくいくものだと思いこんで行動します。そして、以前の成功体験から学んだノウハウが少しずつ蓄積されて、新規事業が得意な会社に成っていきます。
その第一回目の成功、少しの成功でもいいからこの本で学んで欲しいと述べています。
◆『新規事業がうまくいかない理由』
~「プロ」が教える成功法則
著者:坂本桂一、出版社:東洋経済新報社
出版社:明日香出版社
後悔度:★★★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?
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