人の心を大きく揺さぶる物語(ストーリー)が持つ力を、実際にどのように活かすかをやさしく解説した本です。仕事では、論理的な思考も重要ですが、共感してもらって、如何にして、物語に参加してもらい満足感をという感情も大切です。それを具体的な手順に落とし込んでいます。
著者の川上徹也氏は、多くの広告制作にかかわり、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞など多数の受賞歴を持つプランナーです。『仕事はストーリーで動かそう』は、その川上徹也氏のライフ・ワーク的な本の一冊目です。
◆伝説になったストーリーとは?
ストーリーの力をまざまざと見せつけたのに伝説になったストーリーがあります。
・ロールスロイス
アラブの石油王が乗っていたロールスロイスが、砂漠の真ん中で、シャフトが折れて故障した。無線で助けを呼ぶと、ヘリコプターで修理をしてくれた。その後、しばらくしても、修理代の請求がこない。ロールスロイス社に電話をすると、きっぱりと、こう言われた。
「ロールスロイス社のシャフトは絶対に折れません」
・東京ディズニーランド
お客さんが園内の池に誤って、指輪を落としてしまった。無理だと思いながら、係員に報告すると、連絡しますので園内で遊んでいてくださいと形態番号を聞かれた。数時間後、電話があり、むかうと係員の手には指輪が。お客さんは驚いて、「どうやって見つけたんですか?」と言うと。係員は答えた。
「ここは魔法の国ですから」
・スティーブ・ジョブズ
アップルのCEOであるスティーブ・ジョブズは、コンピュータ内部の基盤にさえ視覚的な美しさを求める。あるエンジニアが「誰がそんな機械の内部なんか覗くんですか?」と反論したところ。ジョブズ、曰く、
「俺が覗くのさ」
ストーリーだけで、それぞれの強烈な個性を感じさせます。
◆ストーリーの黄金律とは?
仕事でストーリーの力を借りるには、ストーリーを作り出す必要があります。共感を呼ぶストーリーには以下の3つが入っています。実は、ハリウッド映画の多くにも入っています。
1.何かが欠落している、もしくは欠落させられている主人公
何かが欠落している状態の主人公の頑張りが感情移入を生みます。
2.主人公が何としてもやり遂げようとする遠く険しい目標・ゴール
目標やゴールが遠く険しいほど、立ち向かう主人公が魅力的に見えます。
3.乗り越えなければならない数多くの葛藤・障害・敵対するもの
葛藤や障害が多いほどワクワクドキドキして、ストーリーに感情移入します。
◆TDL方式のストーリー構成とは?
ストーリー構成は、いくつかあり、日本では「起承転結」が有名です。他にも、ハリウッド映画の「3幕構成」、日本での「序破急」もあります。
筆者の提唱するシンプルな「TDL(東京ディスニーランド)方式」は、「つかむ」「揺らす」「満足させる」の3幕構成です。
最初の「つかむ」は、パッと見て面白そうなアトラクションだなと思わせます。次に、「揺らす」で次から次にいろいろなスリルが押し寄せてきます。最後に、アトラクションから外に出るときに、おもしろかったと思い、「満足させる」のです。
◆最後の方にも
以上、非常に簡単に紹介しましたが、この本自体、面白そうな作りになっているので、一度、読むことをお勧めします。
そして、本書『仕事はストーリーで動かそう』の最後に、『ストーリーで「会社」「お店」「個人」をブランディングする方法』があります。
昔から個人をブランディングする方法があればいいなと思っていたので、この章は個人的に非常に嬉しいです。さっそく、この書評を書き終えたらやってみます。
◆仕事はストーリーで動かそう
著者:川上徹也
出版社:クロスメディア・パブリッシング/インプレスコミュニケ
後悔度:★★★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?
仕事はストーリーで動かそう | |
川上徹也
おすすめ平均 |
■物語というと
この本もいいです。
世界中の神話を分析して、それをやさしく解説しています。
実際の人生も神話の法則どおり、動くという人もいて、興味深いのです。
人生での知り合いとと神話での登場人物の役割と比較すると面白い。
◆『神話の法則』
ライターズ・ジャーニー (夢を語る技術 (5))
著者:クリストファー ボグラー
出版社:ストーリーアーツ&サイエンス研究所
夢を語る技術〈5〉神話の法則―ライターズ・ジャーニー (夢を語る技術 (5)) | |
Christopher Voglar クリストファー ボグラー 岡田 勲
おすすめ平均 |
◆妙に心に響く動画
このCMの映像を見ていると、妙に、ワクワクしてきます。
つい見入ってしまいます。いいですね。
ソニー ブラビア CM スーパーボール CM
こんな気持ちで、いつも、過ごせたらなあと思います。