『3分でわかるラテラル・シンキングの基本』 by 山下貴史

ロジカル・シンキングだけでは行き詰まることが多いなと思ったときに、この本を見つけました。
大企業内での部署間の調整などの複雑な問題や専門性の高い問題には、問題を丁寧に分解するロジカル・シンキングは役立つのですが、小規模のビジネスや独創性が必要な分野では、ロジカル・シンキングより飛躍した発想が必要なラテラル・シンキングが有効です。
ほとんどの産業が成熟化している日本では、同じ答えが出るロジカル・シンキングではなく、人によって異なるラテラル・シンキングがより重要だと私は思います。
この本は、そんなラテラル・シンキングを網羅的に説明している本です。本書『3分でわかるラテラル・シンキングの基本』は、多くの関連事項を説明しいるので、全部はお伝えできません。私が、経験上、特に、有用だと思っている「前提条件を疑う」の関連事項をお伝えします。
◆まず、前提を疑う
問題や課題は、制約条件と目標が明確で、解決方法を求めるという図式になっています。解決方法を求める前に、制約条件や目標が本当に正しいのかを十分に検証してみると違った風景になることがあります。
例えば、「現在、法人におろしている素材で、年商5億程度の消費者向け商品を開発したい」という課題の前提に疑問を持つと、以下のようになります。
「なぜ、消費者向け製品を開発したいのか?」→「社長の鶴の一声です」
「なぜ、社長はそう考えたのか?」→「同業他社が成功しているので」
「そもそも、販路や予算のあてはあるのか?」→「ないです」
「法人向けは儲かってないのか?」→「悪くはないです」
「法人向けに特化した方がいいでは?」→「私もそう思います」
「そのことを社長に言ったことはありますか?」→「言っていいんですか?」
「まずは社長に言いましょう!!」
◆前提を変えてみる
前提を変えてみると、また、違う風景が見えてきます。4つの変え方があります。
・ネガティブな問題をポジティブな表現に変えてみる。
・思いこみや固定概念を「○○の日だから」と理由づける
・範囲や時間を変更して、前提条件を変える
・ポジショニングマップで評価軸を変更する
特に、ポジショニングマップを使用する方法は斬新です。図解しないと説明が難しいので、本を見て確認してください。
◆暗黙の前提を疑う
人間は経験則で無意識のうちに判断することがあります。この経験則で自動的に判断を下す方法をヒューリスティクスといいます。このヒューリスティクスは多くの場合に正しいのですが、時には大きな間違いを犯します。そのヒューリスティクスの罠を避けるように気をつけましょう。
代表的なヒューリスティクスを以下にあげます。
・利用可可能性ヒューリスティクス
「よく見かけるものだから、それだけでOKと思いこんでいませんか?」
・代表性ヒューリスティクス
「身近な成功体験、過去一回の成功体験から判断していませんか?」
・感情ヒューリスティクス
「本当に理論的に考えた結果ですか?」
・再認ヒューリスティクス
「知っているからと言って安易に高い評価を与えていませんか?」
・アンカリング効果
「事前に見た数字の情報に引っ張られていませんか?」
・確証バイアス
「仮決めだったはずの結論に都合のよう情報ばかり集めていませんか?」
・保有効果
「自分のところにあるからと高い評価をしていませんか?」
・現状維持バイアス
「前例踏襲で本当にいいのですか?」
・フレーング効果
「今の気分で物事を見ていませんか?」
・サンクスコスト効果
「『せつかく、ここまできたのだから』『今までの努力を無駄にしたくない』と思いこんでいませんか?」
・連合の原理
「権威のある人の発言に何の疑いも持たずに従っていませんか?」
・同調の原理
「周りのみんなが選んでいるから、それでいいと思い込もうとしていませんか?」
◆結論
ロジカル・シンキングよりも、ラテラル・シンキングに魅力を感じたら、購入を検討するといいと思います。
今回は取り上げていませんが、独創的なアイディアを生み出す方法が後半に整理さています。
◆3分でわかるラテラル・シンキングの基本
著者:山下貴史
出版社:日本実業出版社
後悔度:★★★★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?

3分でわかるラテラル・シンキングの基本
3分でわかるラテラル・シンキングの基本 山下 貴史

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◆青い光で飛び込みを防ぐ
Yahoo!のニュースを見ていたら、興味深い記事を発見。
「防犯効果があるとして街路灯に用いられるようになった「青色照明」を、鉄道会社が踏切や駅ホームに、飛び込み自殺防止の目的で導入する動きが広まっている。」というもの。
もともと、景観改善のために導入されたのが、防犯防止の効果が発見されて、更に、自殺防止の効果が見つかったようです。
その理論的根拠は確認されてないようですが、「色」への人への影響は大きいようですね

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