発想の視点力 by 三谷宏治

発想術の本というと個人の名人芸的な能力に依存する方法か、いろいろな発想術を網羅的に解説する本しか見かけません。この『発想の視点力』は、三谷宏治氏の戦略コンサルタントという立場から生まれた左脳的な発想術の本です。
「発見・選択・探求・組み合わせ」という過程を経て、生まれる発想を誰でもできるように丁寧に解説しています。日頃、発想力が必要な企画担当者に最適な本です。
戦略コンサルタントらしく、理路整然とまとめられています。目次に沿って、その要所を説明します。
◆比べる
まず、既存のデータを元に発想する方法が比較するという発想法です。4つに分けられます。
・矛盾点を見つける
・広く遠く(時間軸を長く取る)
・例外と比べる
・周縁・その他を比べる
広く遠くという時間軸を長く取る方法が興味深いです。
例として、キリンビールとアサヒビールのシェア争いの話が書かれていました。50年の時間軸を取り、大きな状況の変化への対応がアサヒビールのシェアが拡大した要因だと説明しています。
キリンビールの成功の要因が、ある時期から、逆に、失敗の要因になっていきます。
◆ハカる
計ることから、新しい発想を得ることができます。3つに分類されます。
・行動から人がわかる
・目利きのカンから未来がわかる
・塊はバラしてみる
少数消費者の行動を観る「エスノグラフィー手法」というのが紹介されていました。人類学者の手法です。人の行動を寝食を共にして、観察する手法です。それをビジネスの現場でも取り入れられつつあります。
◆空間で観る
良いアイディアを出すためのプロセスとして、「発見・選択・探求・組み合わせ」を著者は主張しています。面白いアイディアを発見したら、分析し、組み合わせることが必要です。
それに使うのが「JAH法」です。
Jとは軸のことで属性です
Aとは値です。属性の中でどのような値になるかを示します。
Hとは幅です。値が取りえる全ての値を指します。
例えば、「真っ赤なりんご」では、軸が色、値が赤、その巾は黄色から緑まで様々です。
この軸をいろいろと考えてみて、その複数の軸で組み合わせを作り、新しい組み合わせで、発想を得るというものです。
本書(発想の視点力)では、「徹夜明けの弁当」という新商品企画を例にいろいろな発想が得られることを示しています。メルマガでは紹介しきれないので、実際に書籍を見てください。
◆まとめ
理系出身のコンサルタントとして、理路整然としています。そして、努力するば、誰でも身につけられる方法です。この2つが他の発想法と違う点です。
◆いまは見えないものを見つけ出す 発想の視点力
著者:三谷宏治
出版社:日本実業出版社
後悔度:★★★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?

いまは見えないものを見つけ出す 発想の視点力
いまは見えないものを見つけ出す 発想の視点力
おすすめ平均
starsビジネスから教育まで活きる書
starsすぐに発想力を高め始められる一冊
stars新しいものを生み出すのでなく、見つける訓練をする本
stars今までにない、新しい発想本
stars手遅れになる前に、ぜひ読んでおいて欲しい1冊

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■編集後記
◆全脳思考モデルを使う
以前、紹介した神田昌典氏の新刊『全脳思考』を使っています。
こんなにすぐに、元が取れたノウハウのは初めてです。
特に、「全脳思考モデル」が使いやすいです。用途としては、企画などの新規に何かを作るときに、とても、役立ちます。
以前、編集後記で、話した友人のセミナー企画を手伝った時も使いました。
大好評です。こんな記事を書いてくれました。

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