できる総理大臣のつくり方 by 黒澤義行、鈴木崇弘、黒澤武邦

今日は、ゲスト書評家として、
Taka@中小企業診断士(業務休止中)さんをお招きしました。
Taka@中小企業診断士(業務休止中)さんの自己紹介:
知的生産術(仕事術・読書術)、経営・経済、社会事業関連を主な対象に、知欲への刺激供給を目指すビジネス書評ブロガー
ビジネス書で「知」のトレーニングを! ~ 知磨き倶楽部
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自民党によって設立されたシンクタンクの研究員の手による本。
目次をぱらぱらと見ると、いきなり第一章が「キムタクに学ぶ総理大臣のリーダーシップと資質」であり、色もの系かと思いきや、そこは流石に真面目な解説&分析書である。
政治の世界でリーダーシップ不在が嘆かれるようになって随分経つ気がする。色々な意見があるところではあるだろうが、やはり近年では、個人的には小泉純一郎元首相がリーダーシップを発揮された最後の政治家であると思っている。実は、小沢一郎氏にもその力があるのではないかとは思うのだけれど、どこかフィクサー的な雰囲気を感じるところもあって、少しリーダーシップとは違うのかなという気もしていた。
本来、時の内閣総理大臣というのは行政府の長として、リーダーシップを発揮して国を引っ張っていってもらわなければならないと思うのだが、残念ながら自民党最後の3代の総理大臣には、その気概は感じられなかった。
果たして民主党、鳩山由紀夫総理は一体どうだろうか・・・。
正直、僕の中ではリーダーシップを発揮できそうなイメージが現時点では湧かないけれど、それでも期待と希望を捨てさるわけにはいかない。
それでは、内閣総理大臣に求められる資質とは何なのだろうか。
少し長くなるが、本書が「キムタク総理」に表現されていたものとしてまとめたものを引用して紹介させていただく。
□政治の素人ではあったが、民の視点に基づいた自己の信念
□決して失われなかった国民・有権者の視点
□民の意見を聞き続けた姿勢
□国民・有権者に直接語りかけた姿勢
□国民・有権者にもわかりやすい言葉をつかった説得力あるスピーチ
□国民に対する正直で、誠実な対応
□政治や政策を理解するための絶えざる努力
□人間性を前面に出した個性的な魅力
□スタッフを納得させ、サポートしたくさせる人間性、ある意味のカリスマ性
□一方的ではなく、双方向的にコミュニケーションがとれるリーダーシップ性
□爽やかで親しまれるルックス
さらに、現実的に求められる資質や仕組みについてもまとめられている。
□速断できる能力
□不確実性のなかで政策の優先順位をつけ、決断できる能力
□短期的には不利益なことも説得できる力
□マネジメント能力。自らをサポートしてくれるチームが編制でき、党や議員、
 スタッフを有効にマネジメントし、支援を得られること
□リサーチ・リテラシー
□民の声や意見を得ることのできるチャネルや手法を有していること
□国内外の人的ネットワーク
□国内外の情報ネットワーク
□情報収集力あるいはその能力を持つ人材を集める力
□総理大臣がリーダーシップを発揮できる制度や仕組み(公務員制度、行政編
 制権、首相公選制など)
□官邸をはじめとしたチーム、機関(組織)としてリーダーシップを発揮でき
 る空間
□総理大臣のリーダーシップを支持する仕組みとそれをコントロールする仕組
 みの存在
□いくつかの専門性を持ちながら、国内外全体へのバランスが取れた幅広い理
 解と認識(T字型あるいはπ字型の資質)
□民主主義のなかでは、政治的要請(民意)と専門性のバランスをとることが
 重要
□総理大臣の仕事は激務であるため、健康とスタミナがあることは重要な資質。
 その点では年齢も重要な要素
□メディアとの良好な関係を構築
ころころころころと総理大臣の変わってきた国だけれど、こうして見てくると、確かにどれも総理大臣に備えていてもらいたいと思うようなことであり、あらためてその重要性を確認・認識できる。
本来、これだけの資質を持った人間が次から次に出てくるような事態は想定しにくく、ころころ変わっていいポジションではないことは間違いない。
現総理には強烈なリーダーシップを持った総理大臣となっていただけることを心の底から願っている。
そして、そんな総理大臣を取り巻く現実の仕組みなども細かに解説。
学校などで習う政治の仕組みなどでは教わらない、というか他の書籍でも解説されることの少ない部分を細かに説明してくれている。
例えば、組閣当日の流れは、流れ自体は新聞などの報道でもある程度追えるけれど、それぞれの行事や段取りについて知っている人がどれだけいるのだろうか。
さらに、単なる現状の解説だけではなく、現制度の中で総理がリーダーシップを発揮することを妨げている仕組みを指摘、改善策を提示している点も、また特徴的である。
もちろん、組織の見解ではないと断りつつも、自民党の設立したシンクタンクに所属する研究員が感じているという点に意味があると思う。
僕達は直接的に総理大臣を選ぶことはできないけれど(実質的な二大政党制になってきており、そういう意味では間接的に選べていると言えるかもしれないが)、総理大臣を取り巻く仕組みなどについて、きちんと理解しておくことには意義がある。
総理大臣になろうとする人、支持する人間を総理大臣にしようとする人は勿論のこと、政治の仕組みを学ぼうとする初学者にも、他にはない視点から学べる一冊としてお薦めしたい。
◆できる総理大臣のつくり方
著者:黒澤義行、鈴木崇弘、黒澤武邦
出版社:春日出版
後悔度:★★
★★★★★:読まないと絶対後悔する、★★★★:読まないと、とても後悔する、★★★:読まないと、やっぱり後悔する、★★:読まないと、後悔する気がする、★:読まないと、後悔するかな?

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■編集後記
◆au Karada Manger
はまっています。
レコーディング・ダイエット的に使い方ができ、しかも、食事のデータを入れるとカロリー計算や必要な栄養素・ビタミンが足りているかがグラフで見ることができます。
ついつい、見てしまうので、食事に気を遣うようになりそうです。

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