●企業とは何か
経済学は利益を云々するが、目的としての利益とは、
「安く買って高く売る」との昔からの言葉を難しく
言いなおしたにすぎない。
それは企業のいかなる活動も説明しない。
活動のあり方についても説明しない。
企業の目的は企業の外にある。
企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。
企業の目的の定義は一つしかない。
それは顧客を創造することである。
利益とは、原因ではなく結果である。
マーケティング、イノベーション、生産性向上の
結果手にするものである。
したがって利益は、それ自体致命的に重要な
経済的機能を果たす必要不可欠のものである。
1.利益は成果の判定基準である。
2.利益は不確定性というリスクに対する保険である。
3.利益はよりよい労働環境を生むための原資である。
4.利益は、医療、国防、教育、オペラなど社会的な
サービスと満足をもたらす原資である。
最近の企業人は、利益について弁解ばかりしている。
だが、利潤動機や利潤極大化などのナンセンスを
言っているかぎり、利益を正当化することはできない。
社会及び経済にとって必要不可欠なものとしての
利益については、弁解など無用である。
企業人が罪を感じ弁解の必要を感じるべきは、
経済活動や社会活動の遂行が困難になることである。
利益を生むことができなくなることである。
本書は「もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の
原点となった著書です。
マネジメントについてもっと深く学びたい
という方におすすめの一冊です。
ドラッカー氏の著書は真理の宝庫で、私などでは
まだまだ十分にその魅力をご紹介できません。
実際に読まれることをおすすめします。
自分自身の成長ステージに合わせて、
違った部分が輝きを増す名著です。
(1)マネジャーの二つの役割
第一の役割は、部分の和よりも大きな全体、
すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを
生み出す生産体を創造することである。
それは、オーケストラの指揮者に似ている。
オーケストラでは、指導者の行動、ビジョン、
指導力を通じて、各パートが統合され生きた
音楽となる。
したがってマネジャーは、自らの資源、
特に人的資源のあらゆる強みを発揮させるとともに、
あらゆる弱みを消さなければならない。
これこそ真の全体を創造する唯一の方法である。
第二の役割は、そのあらゆる決定と行動において、
ただちに必要とされているものと遠い将来に必要と
されるものを調和させていくことである。
いずれを犠牲にしても組織は危険にさらされる。
強のために明日犠牲となるものについて、
あるいは明日のために今日犠牲となるものについて
計算する必要がある。
それらの犠牲を最小にとどめなければならない。
それらの犠牲をいちはやく補わなければならない。
あらゆるマネジャーに共通の仕事は五つである。
1.目標を設定する。
2.組織する。
3.動機づけとコミュニケーションを図る。
4.評価測定する。
5.人材を開発する。
(2)真摯さなくして組織なし
真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。
それはまず、人事に関わる決定において象徴的に表れる。
真摯さは、とってつけるわけにはいかない。
すでに身につけていなければならない。
ごまかしがきかない。
ともに働く者、特に部下に対しては、
真摯であるかどうかは二、三週間でわかる。
無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。
だが、真摯さの欠如は許さない。
決して許さない。彼らはそのような者を
マネジャーに選ぶことを許さない。
真摯さの定義は難しい。
だが、マネジャーとして失格とすべき真摯さの欠如を
定義することは難しくない。
1.強みよりも弱みに目を向ける者をマネジャーに
任命してはならない。できないことに気づいても、
できることに目のいかない者は、やがて組織の
精神を低下させる。
2.何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者を
マネジャーに任命してはならない。仕事よりも人を
重視することは、一種の堕落であり、やがては組織全体を
堕落させる。
3.真摯さよりも、頭の良さを重視する者をマネジャーに
任命してはならない。そのような者は人として未熟で
あって、しかもその未熟さは通常なおらない。
4.部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。
そのような者は人間として弱い。
5.自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネジャーに
任命してはならない。そのような者をマネジャーに
することは、やがてマネジメントと仕事に対する
あなどりを生む。
知識もさしてなく、仕事ぶりもお粗末であって判断力や
行動力が欠如していても、マネジャーとして無害なことがある。
しかし、いかに知識があり、聡明であって上手に仕事を
こなしても、真摯さに欠けていては組織を破壊する。
組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。
組織の精神を損ない、業績を低下させる。
(3)組織構造
組織構造は目的達成のための手段である。
それ自体目的ではない。構造の健全さは、
組織の健康の前提である。
それがそのまま組織の健康を意味するわけではない。
組織の健康さを判定する基準は、構造の美しさ、
明快さ、完全さではなく、成果である。
いかなる組織構造であっても、組織として
最小限持たなければならない条件がある。
1.明快さ
組織マニュアルの助けなしでは、自らの所属や
行くべきところ、あるいは自らの位置がわからない
組織構造は、無用の摩擦、時間の浪費、論争や不満、
意思決定の遅れをもたらす。
そのような組織構造は、成果をあげる助けとなる
どころか障害となる。
2.経済性
人を成果に向けて動かすために必要なものは
少なければ少ないほどよい。
3.方向づけの容易さ
成果よりも努力が重要であり、職人的な技能
それ自体が目的であるかのごとき錯覚を
生んではならない。
4.理解の容易さ
組織構造は、共同の仕事、すなわち組織全体の
仕事を理解できるようになっていなければならない。
自らの仕事が組織全体のどこに位置し、逆に全体の
仕事が自らの仕事、貢献、努力にとって何を意味
しているかを理解できるようになっていなければ
ならない。
5.意思決定の容易さ
常に高いレベルで意思決定を行わざるをえなく
なっている組織構造は、意思決定にとって障害
以外の何者でもない。
6.安定性と適応性
組織内の一人ひとりにとっても、家が必要である。
待合室では仕事はできない。短期滞在客の身分では
たいしたことはできない。
人にはコミュニティが必要である。自分の知っている人、
自分を知っている人がおり、他の人との関係が定着している
コミュニティが必要である。
7.永続性と新陳代謝
組織は、明日のリーダーを内部から調達できなければ
ならない。この点に関しては、25歳でマネジャーに
なった有能な者が、存分に働ける若さのうちに
トップマネジメントに近い階層に到達できなくてはならない。
●人の強みは社会のためになる
われわれはすでに、社会のニーズを事業上の機会に
転換することが企業の役割であることを知っている。
市場と個人のニーズ、すなわち消費者と従業員の
ニーズについて、予期し、識別し、満足させることは
マネジメントの役割である。
自立的なマネジメント、すなわち自らの組織に奉仕
することによって、社会と地域に奉仕するという
マネジメントの権限が認知されるには、組織なるものの
本質に基盤を置く正当性が必要とされる。
そのような正当性の根拠は一つしかない。
すなわち、人の強みを生産的なものにすることである。
これが組織の目的である。
組織とは、個としての人間一人ひとりに対して、
また社会を構成する一人ひとりの人間に対して、
何らかの貢献を行わせ、自己実現させるための
手段である。
組織の基礎となる原理は、
「私的な悪徳は社会のためになる」
ではない。
「個人の強みは社会のためになる」
である。
これがマネジメントの正当性の根拠である。
そして、マネジメントの権限の基盤となりうる
理念的原理である。
◆『マネジメント【エッセンシャル版】』
著者:P・F・ドラッカー
出版社:ダイヤモンド社
後悔度:★★★★★
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マネジメント – 基本と原則 [エッセンシャル版] | |
P・F. ドラッカー 上田 惇生
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ゲスト書評家として、岩橋 亮さんをお招きしました。
岩橋 亮さんの自己紹介:
『行動なくて読書の価値なし』をテーマに中小企業経営に役立つ
実践的なビジネス書・自己紹介書を紹介している書評ブロガー
中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー
ゲスト書評家を希望の方はこちらをご覧ください。
■編集後記
◆CLIMAX COFFE 北谷ハンピー店
沖縄のカフェでベスト5に入るお店に行きました。
那覇から遠いので、たまにしか行けません。
近くに安良波公園があり、そこが綺麗なビーチなので、
そこらへんをブラブラするのもいいですね。
CLIMAX COFFEや安良波ビーチの写真を撮ってきました。
http://ameblo.jp/tulipa990/entry-10698906108.html