自分の貴重な経験を現在の能力に変える方法
アイ・カンパニーは、自分自身を会社として考えて、少し、引いた視点で、自分を客観的にみるツール(考え方)です。
生身の自分を考えると、いろいろなこれまでのしがらみ、過去から現在にいたるいろいろな感情的な反応、空回りする思考にとらわれて、うまく、冷静に眺められません。
これを、日頃、いろいろな観点を鍛え、常に、自分の外にあり、批判の対象である会社に例えて、自分自身をチェックする視点は、非常に有効です。
会社に例えて、次々と分析していく展開は新鮮に感じました。
特に、考え方としておもしろいのは、自分の経験を3つの視点(who、what、How)に、分解して、抽象化する視点です。そうすると、広い範囲で自分が適応できる職業が広がって、新しい可能性が見えてくるのが新鮮です。ちなみに、この3つの視点は企業戦略で言うとドメインにあたりますよね。
例えば、高額不動産の営業の経験を考えてみます。
この人にとっての経験を分解し、抽象化すると、以下のようになります。
who(顧客):高額所得者
what(商品):高価不動産
how(どのように):じっくりと数件/年ペースの販売
これは、一見、関係のない高級自動車の営業が必要とするスキルに類似します。
who(顧客):高額所得者
what(商品):高級自動車
how(どのように):じっくりと数件/年ペースの販売
商品が違うだけで、他の2つの要素は類似しているため、もしかしたら、転職してもスムーズに業務をこなしていけるかもしれませんよね。
この様に、自分の経験をより他に転用可能な能力(ポータブル・スキルと名付けられている)をより高い視点で見て、自分の適正を考えてみることができるのが面白いです。
その他、いろいろな視点から、自分自身の戦略を考えるツールが詰まっており、非常に有用な本だと言えます。
アイ・カンパニーの時代-キャリアを鍛える。モチベーションを高める。
著者:小笹芳央、小畑重和、出版社:中央公論新社
後悔度:★★★ (三つ星満点)
★★★:読まないと絶対後悔する、★★:とても後悔する、★:やっぱり後悔する
今日は、昨日に続いて、本田さんの本をとりあげようかと思いました。しかし、この「アイ・カンパニーの時代」の小笹芳央さんの講演会を聞いたため、変更しました。